昨年の「夏の義太夫教室」の様子(阿波十郎兵衛屋敷提供)

義太夫語りの竹本友和嘉さんが徳島市の阿波十郎兵衛屋敷で開いている「夏の義太夫教室」が10年目を迎えた。浄瑠璃を身近に感じてもらいたいと始め、延べ114人が受講。舞台で活躍する人も生まれるなど愛好者の裾野を広げている。


講座は、浄瑠璃の歴史や三味線と太夫の役割など、基本的な知識についての解説から始まる。全5回で学ぶのは、「ととさんの名は…」のフレーズでおなじみの「傾城阿波の鳴門 順礼歌の段」。友和嘉さんが三味線を弾きながら語る声に受講生が続く口伝えの講座で、最終回には舞台で成果を発表する。


父が太夫、母が三味線の師匠だった友和嘉さんは、浄瑠璃を聴いて育ち、中学時代に初舞台を踏んだ。「難しいと思われがちな浄瑠璃だけど、面白さを肌で感じてほしい」との思いで、講座では実技を重視している。受講者の多くは人形浄瑠璃公演に足を運ぶようになり、中には弟子入りして本格的に浄瑠璃を始めた人もいる。


友和嘉さんは「かつて浄瑠璃は誰もが口ずさんだ身近な音楽だったけど、今では特別な存在になっている。講座をきっかけに、もっと気軽に浄瑠璃を楽しんでもらえたら」と話している。


今年は7月7日から8月4日まで毎週金曜に開講する。各日午前9時40分~同10時50分。受講料はテキスト代千円。申し込み締め切りは6月30日。問い合わせは阿波十郎兵衛屋敷〈電088(665)2202〉。