将来のある若い女性が、どうして自ら命を絶つまでに追い詰められたのか。教訓をくみ取り、二度と悲劇が起きないようにしなければならない。

 違法残業事件で労働基準法違反罪に問われた広告大手電通に対し、東京簡裁が求刑通り罰金50万円を言い渡した。

 事件は2015年12月に、24歳だった新入社員の高橋まつりさんが過労自殺したのが発端だ。亡くなる前の1カ月の残業は105時間に達していた。

 判決は、電通が高橋さんら社員4人に違法な時間外労働をさせたとし、「尊い命が奪われる結果まで生じていることは看過できない」と批判した。

 電通には社員の健康管理を軽視する風潮があったとされる。14、15年の2回、労基署から違法残業の是正勧告を受け、16年には、13年に亡くなった若手男性社員が過労死と認定された。

 業務の見直しに取り組んでいるというが、どれだけ実効が上がっているのか。判決を重く受け止め、まずは社内の意識改革を徹底する必要があろう。

 高橋さんの自殺後も、過労死・過労自殺は後を絶たない。16年度の認定数は未遂を含めて計191件に上った。それも氷山の一角にすぎないというから、事態は深刻である。

 背景に、長時間労働に寛容な日本の企業風土があるのは間違いない。人員削減や成果主義の行き過ぎも指摘されている。

 求められるのは、企業が古い体質から脱却し、利益優先の姿勢を改めることだ。働く人に犠牲を強いる社会であってはならない。