近年、議員が調査活動に使う政務活動費(政活費)の不正使用に関するニュースが徳島県内外で絶えない。
 
 政務と関係のなさそうな本を購入したことになっていたり、行ってもいない視察をでっち上げたり、領収書を改ざんしたりといったあきれるような事例が目立つ。政活費への信頼は地に落ちたといっていい。
 
 政活費は決して不必要というわけでない。議員が住民の代表として行政のチェック機能を果たし、有益な提言を行うためには、日頃の研さんが必要である。書籍を購入したり、先例地の視察に出向いたりするには相応の費用がかかるのは当然だ。
 
 しかし、信頼が損なわれた現状では、議員が政活費の使用をちゅうちょするケースが増えている。徳島県議会の場合、2016年度分で県に返還された残余金は前年度比で3・5%増の3380万円だった。県内では総支給額の23・1%しか使われなかった市議会もある。
 
 政活費への不信を気にするあまり、「使うと不正を疑われる」などと使用を控えたことが主な要因とされているが、それは本末転倒というべきだ。
 
 政活費への信頼を取り戻し、市民にとって有益な使い方がされるように改善することが急務である。
 
 信頼回復への取り組みとして各議会に求められるのは、使途を徹底して公開することに尽きる。
 
 大切なのは、全てをつまびらかにして、適切かどうかを誰でも検証できる状態にしておくことである。
 
 収支報告書を公開するだけでは不十分だ。全ての領収書を明らかにする必要がある。そもそも政活費への不信が高まっているのだから、第三者が検証できない情報では真実性が担保されず、公開したことにはならないと捉えるべきだろう。
 
 閲覧しやすい環境を整えることも大事だ。
 
 領収書や収支報告書を見るために情報公開請求などの手続きを課すところが多いが、無駄な障壁と言わざるを得ない。情報にいつでも、容易に接触できるようにしなければ、公開の意味は半減する。現時点で最も望ましいのは、ホームページに掲載することだろう。
 
 徳島新聞社のまとめでは、県内で政活費を支給している県議会と7市議会で、領収書を非公開としている議会はないが、公開の方法には開きがある。
 
 領収書をホームページで公開しているのは県と三好市だけである。鳴門、小松島両市は申請すれば閲覧でき、徳島、阿南、吉野川、美馬の4市は情報公開請求をしなければならない。
 
 各議会とも少しずつ制度を整えているが、足並みはそろっておらず、改善すべき点はまだ多い。信頼回復のため、形だけではない真の情報公開を求めたい。