もう11年前になる。NHKの朝ドラ「ちりとてちん」は、出勤前から泣かせる物語だった。筆者がドラマの親と同じ年頃になったからか、最近この場面をよく思い出す

 落語家になるため、福井の片田舎を離れて大阪へ行く決意をした主人公の喜代美。ところが母親に猛反対され、激しく口論したまま旅立つ。駅のホームで見送る中に母親の姿はない

 走る列車から地域ののど自慢大会が見えた。マイクを握っているのは母親で、涙ながらに歌うのは五木ひろしの「ふるさと」。車窓から身を乗り出す喜代美の「お母ちゃん、お母ちゃん」の連呼が切ない

 4月になった。就職や進学で、親元を離れて新生活を始める人は多いはず。晴れやかなのに、寂しい別れである。どれだけいがみ合うようなことがあっても、親心は変わらない。どうか古里を忘れないでほしい

 県外にたつ18、19歳の皆さんに要望をもう一つ。知事選と県議選に投票してもらいたい。住民票を移してなければ、7日の投票も期日前投票もできる

 両選挙での10代の投票は今回が初めてだ。高校卒業や脱浪人の記念にもなる。母なる古里への思いを投じる権利を放棄してはもったいない。もちろん徳島に残る人も。若い声で県を元気にしよう。きょう新しい元号が決まる。あなたたちが主役になる時代が、すぐそこに来ている。