「来季こそは、J1昇格を」―。今年もまた、この言葉を送らなければならないことが残念でならない。

 サッカーJ2の徳島ヴォルティスが、J1昇格を懸けて争うプレーオフ(PO)進出をあと一歩のところで逃し、7位でシーズンを終えた。

 勝つか引き分けるかでPOの切符が手に入る東京ヴェルディとのリーグ最終戦。後半早々に同点に追い付きながら、終了間際に痛恨の勝ち越し点を奪われてしまった。

 一時は期待が膨らんだだけに、声援を送り続けたサポーターたちの落胆は大きかったに違いない。

 願いはかなわなかったものの、最後までPO進出争いを演じたヴォルティスの戦いぶりは、他に引けを取らないものだった。大いに胸を張っていい。

 ボールをつなぎ、スピード感を持って果敢に攻め込む試合運びは、むしろ上位のチームを上回っていたと言えよう。総得点がリーグ2位の71、得失点差はトップの26という数字が、それを物語っている。

 足りなかったのは、ここ一番の勝負強さである。42試合中、勝ち数は18とリーグ8位にとどまり、引き分け数は13と6位タイの多さだった。

 序盤から優勢に立ち、ボールを支配してもなかなかゴールを割れない。終盤に追い付いて引き分けに持ち込んだ試合もあったが、大詰めで同点にされたケースが何度あったことか。

 決めるべき時に決め、勝てる試合を勝ち切る。取りこぼしがもっと少なければ、PO進出はもちろん、2位内でJ1に自動昇格できた可能性もあっただけに、悔やんでも悔やみ切れない。

 サッカーの1点がどんなに重いかは、強調するまでもない。その重さを、これほど思い知らされたシーズンはなかっただろう。

 とはいえ、低迷した昨季までに比べ、今季は見応えのある面白い試合が多かった。

 チームに積極性を植え付け、選手たちを鼓舞し続けたのはスペイン人のリカルド・ロドリゲス監督である。初の外国人監督としてファンの期待を背負い、見事にそれに応えた。

 リーグ2位の23得点を挙げたエース渡大生(わたりだいき)選手や岩尾憲主将ら残留組に、島屋八徳(やつのり)、馬渡(わたりま)和彰両選手らの新戦力が加わり、層が厚くなったのも大きい。

 シーズン前半戦を3位で折り返し、途中で足踏みもしたが、チームは常に前を向き、上位を目指す姿勢はぶれなかった。

 来季の続投が決まったロドリゲス監督は「(PO進出を逃した)この経験を生かし、徳島をより強くしていきたい」と抱負を語った。

 なぜ、J1昇格に手が届かなかったのか。今季の戦いをしっかりと分析し、攻撃的なスタイルにさらに磨きをかけて、新たな出発を切ってもらいたい。