米軍機が相次いで不時着したり、部品を落としたりする状況で、安心して暮らすことはできない。沖縄県民が怒りを募らせるのは当然である。
 
 沖縄県読谷村の廃棄物処分場に8日、米軍普天間飛行場(宜野湾市)に所属するAH1攻撃ヘリコプターが不時着した。2人が乗っていたが、けが人はいなかったようだ。
 
 普天間飛行場の所属機は、事故やトラブル続きである。6日には、うるま市の伊計島海岸にUH1ヘリが不時着したばかりだ。
 
 昨年12月、CH53E大型輸送ヘリの窓が、飛行場に隣接する小学校に落下し、子どもや家族を不安に陥れた記憶は鮮明である。
 
 10月には、訓練中に出火したCH53E大型輸送ヘリが東村高江の米軍北部訓練場に近い民間地に緊急着陸して、炎上、大破した。
 
 ヘリだけではない。2016年12月、輸送機オスプレイが名護市沖で不時着し、大破したのは大きな衝撃だった。その後もオスプレイは、米軍伊江島補助飛行場に緊急着陸するなどのトラブルを起こしている。
 
 これほど頻発すれば、米軍への不信感は強まる一方だ。
 
 事故が起きるたびに、米軍は一時的に同型機の飛行を停止するなどの措置を取るが、地元の反発をよそに、短期間で飛行を再開する。
 
 政府も米軍に対処を要請してきたが、再発を防げないのが実態である。
 
 翁長雄志(おながたけし)知事が「当事者能力がないことに恥ずかしさを感じてほしい」と非難したのも無理はない。
 
 小野寺五典防衛相は、マティス米国防長官と電話会談し、抜本的な対策を講じるよう要請した。マティス氏は謝罪し「重要な課題としてしっかり取り組んでいきたい」と応じた。
 
 しかし、言葉だけでは、県民は納得しない。米軍が実効ある再発防止策を取ることが求められている。
 
 米軍は軍用機にトラブルは付きものだと考えているのではないか。そうでなければ、日常茶飯事のように不時着などのトラブルが起きるはずはなかろう。
 
 何よりも優先されなければならないのは、住民の人命と安心できる暮らしだ。そのことを日米両政府は十分、認識すべきである。
 
 政府は、沖縄県の反対を押し切って、普天間飛行場の名護市辺野古への移設作業を進めているが、飛行場の危険性が依然、解消されていない現状にどう対処するのか。
 
 沖縄県は政府に、不時着した米軍のAH1とUH1両ヘリについて、原因究明までの同型機の飛行中止と、在沖縄米軍機の緊急総点検などを実現させるよう求めた。
 
 だが、米軍はそれを無視するかのように、9日も両ヘリの同型機を普天間飛行場から飛行させた。県民の感情を逆なでするのは必至である。
 
 日米両政府は沖縄の声に耳を澄まさなければならない。