長時間労働が常態化する医師の「働き方改革」について、厚生労働省が、有識者らによる検討会に緊急対策案を示した。
 
 検討会は、2018年度末までの最終報告書の取りまとめを目指す。
 
 医師の負担軽減は、医療の質と安全性を高める上でも重要な課題となっている。ワーク・ライフ・バランスをどう確保し、患者の期待に応えていくのか。現場の声を聞きながら、議論を重ねてもらいたい。
 
 対策案は、医師の在院時間の的確な把握と、労使協定(三六協定)で定めた残業の上限時間順守を医療機関に求めるほか、医師業務の一部を看護師や事務職らに移管するのが柱だ。
 
 労働時間の管理や残業の上限順守は当たり前のことだが、徹底されていないのが実情だ。
 
 厚労省が16年に行った調査では、20代の勤務医は週平均50時間超、仕事に従事し、呼び出しに備えた待機も12時間以上あった。若手ほどきつく、過労死や過労自殺が後を絶たない。
 
 業務の移管を含め、導入できる対策から早急に実施に移すべきである。
 
 厚労省は、診療の求めを原則拒めない「応召義務」を検討課題の一つに挙げた。
 
 見直しに慎重な声もあるが、過労死遺族らからは「長時間労働の一因」との指摘が出ている。明治時代にできた規定が現代の社会に合うのかどうか、再考が必要だろう。
 
 診療を受ける側も問われる。不要な救急搬送や「コンビニ受診」をやめるなど、意識改革を進めなければならない。