緊張を高める行動を自制するよう求めたい。
 
 中国海軍の攻撃型原子力潜水艦とフリゲート艦が、沖縄県・尖閣諸島周辺の接続水域を航行した。潜水艦は潜航していた。
 
 国際法上問題がないとはいえ、日本政府が「新たな形での一方的な現状変更だ」と厳重抗議したのは当然である。
 
 中国は、尖閣を中国固有の領土として「正当で合法な行動」と主張しているが、到底認められない。
 
 尖閣の接続水域を中国の潜水艦が航行したのは初めてである。フリゲート艦は2016年6月以来2回目だ。
 
 安倍晋三首相が昨年11月、習近平国家主席に訪日を求めるなど、日中関係は改善傾向にある。両国の連携は北朝鮮への対応でも極めて重要だ。
 
 今年は日中平和友好条約締結から40年の節目でもある。
 
 そうした時期に、なぜ中国は水を差すような行動を取るのか。関係改善の流れを止めてはならない。
 
 日本政府は、日中韓首脳会談の開催実現のため、河野太郎外相の訪中を調整している。尖閣に関する日本の立場を、中国にしっかり伝えることが大切だ。
 
 気になるのは、日中の防衛当局間で目立った交流がなく、意思の疎通を欠いていることである。これでは偶発的な軍事衝突が起きる恐れが拭えない。
 
 昨年12月には、「海空連絡メカニズム」の設置案が両国で大筋合意された。不測の事態を招かないよう、早期に運用を始める必要がある。