ひきこもりの長期化と高齢化が深刻な社会問題として浮上している。

 長期化すると親も高齢になり、介護が必要になったり経済的に困窮したりするからだ。80代の親が50代の子の面倒をみる「8050(はちまるごーまる)問題」とも呼ばれている。

 こうした現状を受け、内閣府は2018年度に40~59歳を対象にした初の実態調査を行うことを決めた。

 中高年の実態を調査する意義は大きい。ひきこもりに至った経緯はもとより、個々の事情を丁寧にくみ取って生活や健康状態などを把握するとともに、対策を急がなければならない。

 内閣府が15~39歳を対象に実施した調査によると、15年時点で「仕事や学校に行かず、半年以上、家族以外とほとんど交流せずに自宅にいる人」は推計約54万人に上った。前回調査(10年時点)より約15万人減少したものの、ひきこもりの期間は「7年以上」が34・7%と前回の2倍超に増えている。憂慮すべき事態である。

 ひきこもりになる理由はさまざまだ。子どものころの不登校やいじめ、職場の人間関係や過重労働、病気、貧困などが複合的に絡んでいるケースもある。

 40代以上なら、バブル崩壊後の就職氷河期で就職に失敗したなど、当時の社会情勢に影響を受けた人たちもいるだろう。

 本人や家族の中には、地域とのつながりをなくしたまま孤立したり、追い詰められたりする人も少なくない。

 早期の自立につなげていくためには、ひきこもっている人を社会全体で受け入れる態勢づくりが不可欠だ。

 「ひきこもりは自己責任」「働かないのは甘えや怠け」といった偏見は、自立から一層遠ざけてしまう要因になりかねない。

 専門家によると、ひきこもりになる人の多くは真面目だという。社会の中で活躍できる場所をつくりだすことは可能だろう。

 支援する動きは徳島県内でも広がっている。

 三好市と東みよし町では、行政や学校、警察、NPO法人などの各種団体がネットワークを組織し、ひきこもりの人が社会に出て行けるよう情報共有や自立に向けた活動を行っている。

 これまでに三十数人を地域ぐるみで支え、仕事に就いた人もいるという。

 本人や家族が気軽に集える「居場所」づくりも必要だ。当事者の親たちでつくるKHJ県つばめの会は毎月2回、徳島市で交流の場を開いている。親同士が悩みを相談し合うなど貴重な交流の場となっているようだ。

 このような社会との橋渡し役となる場所を、地域ごとにつくっていきたい。

 ひきこもる人が社会とつながっていけるよう、当事者の目線に立ち、寄り添いながら支援することが大切だ。