「巻土重来(けんどちょうらい)」。サッカーJ2徳島ヴォルティスが掲げたスローガンである。
本来の「捲(けん)」の字を「巻」に変え、巻き返しに向けた決意をより鮮明に打ち出した。
昨年はリーグ最終戦で惜敗し、あと一歩のところで昇格プレーオフ進出を逃してしまった。
それから3カ月余り。きょう、鳴門ポカリスエットスタジアムに岡山を迎え、ヴォルティスの挑戦が再び始まる。
目指すはJ1昇格である。開幕戦を勝利で飾り、「今年こそ」の強い思いを見せてもらいたい。
今年のチームづくりの最大の課題は、J1広島に移籍したエースストライカー渡大生選手が抜けた穴を、どう埋めるかだった。
渡選手と共に2トップの一角を担ってきた山﨑凌吾選手を中心に、FW陣を再編。昨年のJ3で19得点を挙げた薗田卓馬選手や、大学時代に関西リーグで得点王になった呉屋大翔選手らを新たに加え、決定力のアップを図った。
2年目となるロドリゲス監督は、戦術面に工夫を加えた。力を入れたのが、攻撃の幅を広げることである。昨年、守備を固める相手に苦戦し、勝ちきれない試合が目立ったからだ。
キャンプでは、左右のスペースを広く使って相手の守備を崩す攻めや、セットプレーとカウンターの精度の向上などに取り組んできた。
攻守の鍵を握るMF陣は、引き続き主将を務める岩尾憲選手が支える。副主将の大﨑玲央選手や、ブラジル出身で新加入のブエノ選手を柱としたDF陣も、順調に仕上がったようだ。
新加入組には、スペインU―21(21歳以下)代表などで活躍したMFシシーニョ選手や、U―18日本代表のMF井澤春輝選手、コスタリカの代表経験があるGKカルバハル選手らもいる。どんなプレーを見せるのか楽しみだ。
戦術の多様化の成果が表れたのが、J1のG大阪との練習試合である。速いプレスやカウンター、サイド攻撃などで2連勝した。練習とはいえ、大きな自信になったに違いない。
開幕を目前にして、悲しい知らせもあった。サッカーファンで、ヴォルティスの熱狂的なサポーターだった小松島市出身の俳優大杉漣さんが、急逝したことである。
大杉さんは昨年の最終戦にも駆け付けていた。J1入りをどれほど願っていたことか。今年、結果を出すことで長年の支援に報いたい。
上位2チームの自動昇格は変わらないものの、今年は3~6位のプレーオフを制しても、J1の16位チームに勝たないと昇格できない。
ハードルは上がったが、持ち味の「魅力あふれる攻撃サッカー」を貫けば道は開けるはずだ。
後押しするのはファンの励ましである。一人でも多くの県民がスタジアムに足を運び、声援を送りたい。
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