団塊の世代が全員75歳以上になる2025年が近づいている。社会保障費の増大を抑えつつ、いかに医療の質と量を確保するか。

 厚生労働省が、医療機関に支払う診療報酬の4月からの改定内容を決めた。

 身近なかかりつけ医の役割を強化し、入院から在宅医療への流れを加速させることなどが柱である。

 超高齢化社会の到来を見据え、持続可能な制度へ、医療体制の再編を進めなければならない。

 改定では、訪問診療や夜間・休日に対応するかかりつけ医を対象に、初診時の報酬を上乗せする。複数の医療機関が協力して24時間、患者宅に往診する態勢をつくった場合も報酬を加算するとした。

 厚労省は、在宅医療を利用する患者数が、25年には現在の1・5倍の100万人になると推計している。

 日頃から患者の状態を把握するかかりつけ医の重要性が、ますます高まるのは間違いない。訪問診療などを充実させることが大切だろう。

 高齢者が住み慣れた地域で最期まで暮らせるよう、自宅や介護施設でのみとりをしやすくする仕組みも整える。

 内閣府が行った全国調査では、自宅で最期を迎えたいと答えた人が半数を超えた。時代の要請に沿った措置といえよう。

 ただ、24時間での対応など、医師の負担は重くなる。かかりつけ医の増加が急務で、人材の育成に一層力を入れる必要がある。

 在宅医療の推進には、診療所と大病院との役割分担を明確にすることも大事だ。

 現在、500床以上の大病院を紹介状なしで受診した人に、5千円の追加負担を求めているが、対象の病院を400床以上に広げる。

 大病院は先端医療に取り組み、地域の診療所がかかりつけ医として日常的な医療を担う。そうしたすみ分けが定着するよう期待したい。

 改定は、重症患者向けの急性期病床を、慢性疾患を抱える人向けの病床に転換させる方策も取り入れた。急性期病床の報酬を算定する際、看護師の数だけでなく、重症者の割合や治療内容を基準に加えて厳格化する。

 今後、少子高齢化で急性疾患の患者は減り、慢性疾患を持つ人が増えるとされる。

 一方で、在宅医療で治療が可能な高齢患者らの退院を促す仕組みも強めるという。本当に入院が必要な人が退院を迫られることがないよう、十分な配慮が求められる。

 医療費の削減では、病院前で営業する大手の「門前薬局」や人工透析の報酬引き下げなどを盛り込んだものの、小幅にとどまった。

 年間約45兆円に膨らんだ医療費の抑制は、避けて通れない課題である。

 過剰な診療や投薬を防ぐのはもちろん、介護との連携を強め、限られた人材と財源を生かせる体制を築かなければならない。