<初便りみな生きてゐてくれしかな>石塚友二。さて、どう解釈すべきか。謎解きのヒントは、この句が詠まれた年にある。1946(昭和21)年、先の戦争が終わった翌年である
年賀状に託したのは、初春の喜びだけではなかっただろう。長かった戦、生き残った証しの1枚1枚だ。一方で、舞い戻ってきたはがきも、少なくなかったに違いない
戦後70年の新年を迎え、天皇陛下は「この機会に満州事変に始まるこの戦争の歴史を十分に学び、今後の日本の在り方を考えていくことが今、極めて大切だと思っています」と感想をつづられた。韓国との国交正常化から半世紀の年でもある
祖父たちの戦争が、いまだに重大な課題となる、隣国との特異な関係にそろそろ終止符を打たねば。もとより困難は覚悟の上で、歴史の克服へ踏み出したい。いがみ合うばかりでは、決して生産的な未来は描けない
暮れの紅白歌合戦で、桑田佳祐さんが歌った「ピースとハイライト」の歌詞にあるように、希望の苗を植えていける1年にできるかどうか。中韓両国にも変化を求めて
さはさりながら、たちまちは初詣に買い初めと、数ある初をこなしつつ、年酒に頬を赤く染めたりも。長かった正月休みも、今日を含めてあと2日。しばし、ごろ寝を決め込んで。<初夢の吉に疑(うたがい)無(な)かりけり>松瀬青々。