自動車を乗り入れられない家は山間部では珍しくなかったが、車の普及につれて斜面を削って次々と広い道が造られた
 
 その結果、どうなったのか。「軒先に着けたトラックに荷物を積み込み、山を下りるんよ」。支局時代、役場の知人にそう教わった。もちろん一部だろうが、地域のために造った道が人口減少を誘発するのは皮肉だ
 
 四国横断自動車道の徳島-鳴門間が3月14日に開通する。1985年の大鳴門橋開通から30年を経て、やっと徳島市が本州と高速道路でつながる。区間延伸とはいえ、徳島にとってその意義は大きい
 
 次の目標は県南延伸である。2019年度には吉野川を渡る。徳島自動車道の藍住-脇町間開通より遅れること25年。南へ南へ。地域の願いを乗せて勝浦川、那賀川を越えて延びてほしい
 
 四国は開発が遅れており、それだけにハード整備を渇望する声は強い。だが、目を凝らしてみよう。高速道路や新幹線が開通しても、ヒト・モノ・カネが大都市へ流出した例は数え切れない。スケールこそ違うが、山あいの道と同じだ
 
 道路や橋そのものが目的ではなく、活用しての地域振興が大事なのは言うまでもない。せっかくの道路や橋だ。開通で満足するのではなく、観光客や移住者を引き寄せられるように、みんなで知恵を絞りたい。今年は地方創生元年である。