r>g 最近、この不等式をよく目にする。資本収益率は、経済の成長率より大きいことを示しているのだそうだ。ベストセラー「21世紀の資本」(みすず書房)の著者トマ・ピケティさんの立論の柱である

 平たく言えばこういうことらしい。土地や株から得られる収益は、働いて得られる所得などよりも常に大きい。これは歴史的事実。何もしなければ、富は持てる者に一層集中する

 <資本主義は自動的に、恣意的で持続不可能な格差を生み出す>。是正には資本に対する世界的な累進課税が必要だ。その人気から、ロックスター経済学者とも呼ばれる時の人は提案する

 批判も多いが、格差が拡大していることに疑いはなかろう。国際非政府組織オックスファムの報告によると、最富裕層80人の資産は下位約35億人分に匹敵する。来年にはわずか1%の人々が世界の富の過半を手中にしそう

 格差と言えば-。徳島県が発表した1日時点の推計県人口は、前年同期比5824人減の76万2834人。16年連続で減少した。ここにも不等式が成り立つ

 <本書の唯一の目的は、過去からいくつか将来に対する慎ましい鍵を引き出すことだ>。ピケティさんに倣えば、「東京>地方」をひっくり返すには来し方の十分な検証が不可欠か。「vs東京」もはったりではなかった、と言わせたい。