とある居酒屋で。「昔は当たり前だった。もっと厳しさが必要では」「そうそう、お前なんか、殴ってもらって、やっとまともになったんじゃないか」「愛情があればね。ある程度は許されるよ」

 酒場のよた話は酒場だけにしておいた方がいいようだ。体罰を理由に懲戒や訓告といった処分を受けた公立学校の教員が昨年度、過去最多を更新した。本県でも停職を含めて28人。部活動中に生徒を殴り、けがをさせるなどした

 世界名言・格言辞典(東京堂出版)にある。<塩けのない肉と折檻されない子供は腐敗する>(デンマーク)<小枝は若いうちに曲げるべきだ>(イギリス)。こんな調子だったか。当然ながら現代の教育現場では通らない。体罰が許されないことくらい、問題の教師も常識として知っていただろう

 言葉で指導できずに何が教師か。安易な道を選べば、いつになっても本物にはなれまい。プロならプロらしく、自分の指導法に日々、磨きをかけるべきではないか

 恥ずかしながら、実は筆者も居酒屋と変わらぬ口だった。取材で知り合った教師に、それは違うと教えられた。親同様、教育者には忍耐が必要なことも

 もっとつつましい表現だったが、きっぱり言った。<雛は、おんどりが教えるように歌う>(フランス)。だから、こんな大事な仕事はないのだ、と。