なるべく端の方がいい。止まり木に腰を下ろし、あの作家をまねて頬づえをついてみたりして。香り立つ酒、氷、汗をかいたグラス。静かに時が

 とはいかず、気取って言えば談論風発、夜は更けていく方なのだが、たまには池波正太郎風につぶやいてみたくなる。「気が置けないバーの一つや二つ持っておくのが、大人のたしなみだ」(ここは森山周一郎さんの声で)。誰だ、吹き出したのは

 柔らかな光線に輝くカクテル。語源はさまざまある。古典的著作「サヴォイ・カクテルブック」にみえるのは、真実と強調している割にうそくさい、が、魅力的な話

 アメリカ南部州とメキシコの休戦協定の席上、指示がどう伝わったか、女性バーテンダーが運んできた特製酒は1杯きり。米将軍と墨王、どちらが先か。場合によっては再び戦争にもなりそうだ。女性は機転を利かし、いきなり飲み干した。美女と伝わる彼女の名こそ「カクテル」

 難しいのは、いずれ身につく酒の調合技術よりも、「場の空気」をつくること。広く応用できそうな言葉である。きのう徳島市で開かれた全国バーテンダー技能競技大会四国大会の会場で聞いた

 県内には伝統的なバーだけで50軒ほどあるそうだ。種類無限のカクテルの世界。気の利いたバーテンダーの、よき時間を授かりに、さて、こよいどちらへ?