島根県庁の一角に、竹島資料室はある。日本の領土でありながら、韓国による実効支配が長年続いている竹島。資料室は、問題解決に向けて県が設置したもので、文献や研究資料の公開を通して啓発活動に取り組んでいる
訪ねたとき、啓発推進員の男性から歴史や背景について説明を受けた。男性の口調はとても穏やかで、淡々と事実を語る。簡潔にまとめられたレジュメと相まって、話がすとんと胸に落ちた
耳を傾けていると、ある種の懐かしさがこみ上げてきた。帰り際に「学校の授業を思い出しました」と声を掛けると、男性から「歴史を教えていました」と返答があった。教員を退職後、推進員にと誘いを受けたそうだ
問題は解決に向かうどころか、3年前に李明博(イミョンバク)大統領が上陸してからこじれる一方だ。今年は日韓国交正常化50周年に当たり、竹島問題もクローズアップされるだろう。事が領土問題だけに、両国とも簡単に引き下がれない。「嫌韓」「反日」を一層あおらないか、心配だ
日本の主張には根拠がある。相手がいくら感情的になろうとも、非難や挑発で応じる必要はない。大切なのは理性的な姿勢だ
<正しいことを言うときは少しひかえめにするほうがいい>吉野弘。ただ、しっかりと言いたい。世界中に聞こえるように「かえれ島と海」と。22日は竹島の日。