目的は手段を浄化しない。いついかなる場合もそうか、と問われると留保の余地はあるが、少なくとも、罪なき人の命を奪わないと達成できないのであれば、目的の方こそ疑うべきだろう。国であれ、集団であれ、個人であれ
テロリストはそう考えない。独り善がりの大義を掲げ、人殺しをいとわない。過激派組織「イスラム国」やボコ・ハラム、オウム真理教と、その例に事欠かない現代である
純粋だったのだろう。一世を風靡した安部譲二さんの著作「塀の中の懲りない面々」でそんな風に描かれていたような記憶がある。きのう帰国し、逮捕された日本赤軍メンバー・城崎勉容疑者のことだ
富山県出身、徳島大中退。過激思想からは遠い位置にあるような気もする。団塊の世代、時代の風に吹かれて「革命」を夢想しているうちに、道を誤ったか
先の邦人人質事件の際、解決のあしき先例として挙げられた1977年のダッカ日航機ハイジャック事件で「超法規的措置」により釈放された。86年、インドネシアのホテル客室に放火しようとした疑いがもたれている。直前には、日本大使館に向けて迫撃弾を発射したとされる
日本赤軍はテルアビブ空港乱射事件などを起こしたテロ組織。老境に向かう「革命家」に聞きたい。目的は手段を浄化する。67歳になった今もそう思うのか。