他人から見れば「こんなことぐらい」かもしれない。それでも、絶対に許せない、と感じたりするときが「ない」とは言わない。10代なら、なお多かろう
とはいえ、である。広くて深い川がある。渡ってはならない川がある。神話の時代から、ずっと言い習わされてきた。「殺すなかれ」と。でも、時にやすやすと飛び越えてしまう連中が現れる
川崎市の中1殺害事件で、逮捕された18歳の少年が容疑を認める供述を始めた。以前の暴行を「チクられた(告げ口された)のでやった」という。逆恨みもいいところだ。それぐらいのことで、13歳のかけがえのない命を、なぜに奪ったか
「被害者を川で泳がせた」。そうも話している。亡くなる直前、未明の多摩川。裸で、どれほど寒かったことか。その上での凶行。上村遼太君が味わった恐怖を、苦しみを、無念を思う
「取り返しのつかないことをした」。少年は、反省の弁を口にしている。17歳の少年2人も後悔しているだろうか。だとしても、時はすでに、あまりにも遅い
少年と上村君のただならない関係を、複数の友人が知っていたようだ。警察沙汰になったこともある。なのにどうして、と疑問は尽きない。無料通信アプリ「LINE(ライン)」も大人とはつながっていなかったか。SOSに気づけなかった大人の罪を思う。