高温処理したなると金時を貯蔵庫から運び出す藤原代表=徳島市川内町

 徳島県立農林水産総合技術支援センターなどがサツマイモの品質をより長く保つ貯蔵技術を実用化し、なると金時の若手生産者でつくる生産販売会社「農家ソムリエーず」(徳島市)が3月から東南アジアなどへの輸出に導入した。高温多湿の環境に置くことでカビや腐敗の発生を抑える「キュアリング」技術を基にした処理法で、傷みの発生をほぼ半減させた。サツマイモの輸出が全国的に伸びる中、品質保持と安定供給で他産地との差別化を図る。

 一般的なキュアリングは、サツマイモを温度32~38度、湿度90%以上の場所で3~5日保管した後、13~14度で貯蔵することで、収穫時に付いた傷、つるや根の切断面などの皮下組織にコルク層を形成させ、病原菌などの侵入を防ぐ。新技術は温度を40~42度と高く設定し、1・5~2日間保管する。高温処理によって病原菌などが殺菌され、保存効果が高まったとする。

 県などが1月、無処理と一般的なキュアリング処理、高温処理のなると金時をマレーシアへ船便で輸送し、約2カ月後に状態を確認。カビや腐敗で商品にならなくなったイモは、無処理が約5%、一般的なキュアリングが1~2%に対し、高温キュアリングは1%未満だった。

 キュアリングは全国に普及している技術だが、徳島県内では費用や手間の問題から浸透していない。同センターは、海外への輸出強化やブランド力向上を目的に、2016年度から農業・食品産業技術総合研究機構(茨城県)、東京農業大、千葉大との共同で、キュアリングなどを用いた長期品質保持技術の開発を進めてきた。

 農家ソムリエーずは15年から香港や台湾、マレーシアなどへ輸出しており、バイヤーから傷みに対するクレームを受け、同センターに相談。18年8月にキュアリング処理ができる貯蔵庫を設置して研究に協力してきた。

 過去には平均1割ほどに傷みが発生し、多いときで5~7割が商品にならない場合もあったが、今年3、4月に高温キュアリングで処理し輸出した計1トンには傷みについての報告はないという。

 ソムリエーずの藤原俊茂代表は「なると金時は傷みがないというブランドイメージが確立できれば、価格に反映でき、産地力の向上につながる」としている。