評論家風情が何を偉そうに、と一人ほえてみたことがある。もっとも相手はブラウン管の向こう側。時の話題をこんな風に切り捨てた。「タヌキしか通らない高速道路なんていらないですよ」
被害妄想かもしれないが、田舎に対する軽い侮蔑も感じ取れた。地方に無駄な金をかけるな。もっと東京を住みやすくするべきだ。彼女だけではない。一時期、こんな言説がはやった
浅はかである。環境が改善されると、人も車もさらに都会に集まる。高速で走れない高速道を造るのを無駄とは言わぬのか。諸悪の根源は一極集中にあるのに、対症療法がさも有効だと考える、そのこっけいさになぜ気付かない
言い草はともかくとして、評論家の意見も半面、的外れとはいえない。確かに無駄な公共事業はある。必要な事業とて、借金は子や孫にも負わせるのである。生かさなければ罰が当たろう
あす、徳島自動車道・鳴門ジャンクション-徳島インターチェンジ間が開通し、県都が京阪神と直結する。つながれば、さらに効力を増すのが高速道。これまでのように出て行くばかりの道ではない。仕事や観光客を呼び込む道にしないと
十分に使い切り、県勢の飛躍につなげたい。くだんの評論家が来県する機会があれば、こう皮肉ってやろう。「タヌキの里へようこそ。おかげさまで順調です」。
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