太古の火星には海があったという米航空宇宙局の研究結果に、「やはり」と思った人もいるだろう。かつては火星人がいるという俗説もあった。1938年には米国のラジオドラマで、火星人襲来を“臨時ニュース”として放送。事実と思い込んだ人々が避難し、大騒ぎになった
 
 日本の“宇宙人”こと鳩山由紀夫元首相もお騒がせだ。ロシアが一方的に編入したクリミアを訪れた鳩山氏は、編入をめぐる住民投票は合法との見方を示した。編入を国際法違反とする日本には、いい迷惑だ
 
 元首相として厚遇されることが、政治に未練を残す鳩山氏の心をくすぐるのだろうか。日ソ国交回復を実現した祖父の故鳩山一郎元首相は、ロシアに利用される孫を、あの世でどう思っているだろう

 旧ソ連時代の笑い話がある。「われわれロシア人がサハラ砂漠を占領したら、どうなるでしょうね?」「最初の50年間は何も起こらないでしょう。それから砂がなくなるでしょう」(「東欧ジョーク集」、実業之日本社)
 
 政治体制は変わっても、プーチン政権の強権的な領土拡張を見ていると、クリミアの未来が心配になる
 
 火星人襲来のような勘違いはよくある。ましてドラマでもないのだから、元首相の言動で日本が世界から誤解される恐れは十分だ。それよりも、鳩山会館の案内人の方が向いている。