「無法松の一生」なら、三船敏郎もいいけれど、やはり阪東妻三郎で決まりか。といっても古い映画である。年配の方でなければ、ご存じなかろう
松五郎、九州は小倉の人力車引き。乱暴者だが、義侠心(ぎきょうしん)にあふれた真っすぐな男だ。ふとしたきっかけで懇意になった陸軍大尉の急死を受け、その妻と子を献身的に支える。決して言い出せない思いを内に秘め
物語の設定は明治から大正にかけて。帝政ロシアの南下政策と日本が向き合っていたころである。今どきはやらぬ筋立てだが、作品の出来はいい。映画史に残る傑作ともされる。いちずで不器用な松五郎の生きざまが時代を超えて胸を打つ
松と同じ「無法者」でも、この人を主人公にすれば、さあどうなるか。こちらも今どきはやらぬ、ただし、まるで共感できない振る舞いの目立つロシアのプーチン大統領だ。クリミア併合を強行し、きょうで1年になる
当初は侵入部隊の所属を隠す小ざかしさ。力による現状変更に飽き足らず、核兵器の使用を準備していたと国際社会を脅すたちの悪さも。帝政時代と見まがうばかり、侵略の意図をむき出しにしたひどい脚本だ。すぐ書き直すようお勧めする
この際、あらためて強調しておく。この国、国連の常任理事国なのである。それ一つとっても、国連改革が必要なことは明らかだろう。
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