大航海時代の覇者スペインが派遣した無敵艦隊は戦艦130隻。陸兵1万9千人を乗せ、英国本土を踏みにじる構えだ。迎え撃つのはエリザベス1世。後に語り草となる演説で軍を鼓舞し、危機と相対した

 <たしかに私には、か弱く脆い女の体しかありません。しかし私には、王の、イングランドの王の、強い心があるのです>(井上一馬訳)。自ら武器を取り、国民と生死を共にしよう。私たちは、歴史に残る勝利を収められるであろう-

 海戦を制したのは英国。その後の繁栄はご存じの通り。対するスペインは、没落へと帆を向けた。シェークスピアが活躍していたころである

 地方の危機、徳島にとっての「無敵艦隊」は、さしずめ過疎、高齢化、人口減少といったところだろう。外から来る敵を打ち払えば済む話ではなく、郷土が内から崩壊していくのを食い止めなければならないのだから、なお難しい

 統一地方選がスタートした。知事・県議選に続き、徳島、小松島両市議選が4月19日、石井、神山、那賀、牟岐の4町長選のほか、4町村議選が同21日に告示される

 住むに足る、子を産み育てるに足る郷土をいかにつくるか。即効薬はない。かといって、もたもたしていれば手遅れになる。エリザベス1世並みの強い心の持ち主とはいかずとも、よりふさわしい人を選びたい。