定数に占める無投票当選者の割合を無投票当選率という。3日に告示された徳島県議選では定数39のうち14人、過去最高の35・9%に上る。12日の投開票を待たず、全14選挙区の実に半数で新しい顔ぶれが決まった
 
 本県だけでもないらしい。同日告示された全国41道府県議選の無投票当選率は21・9%と最高に。5人に1人、501人が一票の試練を経ないまま地域の代表となる
 
 お隣の香川では全41議席の65・9%、県都・高松市選挙区も含む27議席が無投票で埋まった。2位の山形は45・5%、3位が宮崎の43・6%。徳島はこれに続く
 
 党勢の戻らない民主党が候補者を擁立できなかった。確かにそんな事情もあろう。けれど問題はもっと構造的だ。人口減少や高齢化、要するに地方の衰退が進んだ結果が、今日のこの数字ではないか。号泣騒動やセクハラやじ、政務活動費問題などで議員自ら政治不信をあおったことも、担い手不足に拍車をかけた
 
 民主主義の根幹を揺るがしかねないとの声も大げさには聞こえない。自治体消滅の危機が叫ばれる中、地域の将来像をどう描いていくか、地方議会の重要性が一層高まっている時代にである
 
 有権者の関心を地方政治に引き戻し、人材を議会に送り出す。そのシステムをいかに確保するか。これも統一選が浮き彫りにした課題の一つだ。