手近に楽器がなければ、最近はスマートフォンを使う手もある。とりあえずド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド。次にレとラを抜いて弾いてみてほしい。サンゴ礁に砕ける波の音が聞こえてこないだろうか

 多様な音楽を一つの音階で表現することはできない。中国やインド、中近東、欧州、さらにはジャズやブルース…。歴史や文化と深く結びついた音の並びが世界各地に存在する

 無論、日本にも。2番目に奏でてもらったド・ミ・ファ・ソ・シは琉球音階である。この5音を行きつ戻りつすれば不思議なことに島唄の響きになる

 「辺野古の新基地は絶対に建設できないと確信を持っている」。米軍普天間飛行場移設をめぐる翁長雄志沖縄県知事の発言を、菅義偉官房長官は初会談でどう受け止めたか。まさか、永田町の音階とは随分違った歌だよね、と聞き流したわけではあるまい

 「日米同盟と抑止力の維持、危険性除去を考えたときに唯一の解決策」とする政府側と反対する沖縄。主張は平行線をたどったものの、双方とも対話は継続する方針である。一日も早く同じ歌を口ずさめる日がくれば、と願う

 国土の0・6%しかない沖縄に、在日米軍専用施設の74%が集中している。ドミファでなくドレミで測っても異常だろう。嘆きの歌に耳をふさいでいては、事態は前に進まない。