大手銀行に勤める友人から、かしこまった調子のメールが届いた。関連会社出向のあいさつ状だ。「30年間の銀行勤務にピリオドを打つ」という一文に、誇りと一抹の寂しさが交錯している

 「お堅い」「安定的」。30年前の銀行はそんなイメージが強かったが、平成に入って都市銀行を中心に、再編の大きな波に洗われた。両手に余るほどあった都市銀行は、合併を繰り返してメガバンクなどに集約された

 知人の何人かが都市銀行に就職したが、今は何という会社なのか分からなくなり困った。取材にも必要なので、再編図を切り抜いて手帳に忍ばせていた

 政党の変遷も銀行再編に負けないぐらいに目まぐるしい。国政選挙のたびに新党が生まれるような勢いで、党名を覚えるのも大変だ

 昨年、号泣会見で有名になった前兵庫県議は、県内の町長選などに4回落選した経験がある。何としても当選をと考えた結果なのか。4年前の初当選時は「西宮維新の会」を名乗っていた。橋下徹大阪市長らによる「大阪維新の会」とは無関係なのだが、次々と新党が生まれる時代に、「維新」という二文字を見て、勘違いした人も多かったのではないか

 県知事選と県議選の投票日が12日に迫っている。26日に首長、議員の選挙が続く市町村もある。自分たちの代表だ。信頼できる人物を見極めたい。