学校は、いつごろ始まったのだろう。「ものの始まり50話」(岩波ジュニア新書)によると、古代メソポタミアやエジプト地域には、既に読み書きを教える学校があった

古代社会では文字を扱える人が少なく、それを専門とする「書記」が重要な役割を果たしていた。優秀な書記を育てるのが学校の使命で、地位や身分の高い家の子弟を対象にしたエリート養成機関だった

読み書きといっても、庶民が通った江戸時代の寺子屋などからは程遠い。教育が大衆化され、義務教育が始まったのは、かなり時代が新しく1852年、米マサチューセッツ州が最初とされる

メソポタミアといえば現在のイラク周辺。最古の学校があった地域で今、過激派組織「イスラム国」が威を振るう。人類は数千年にわたって何を学んできたか。大いなる皮肉に、嘆息も漏れる

「(ノーベル平和賞は)教育を求める、忘れ去られた子どもたちの、平和を求める、おびえた子どもたちの、変革を求める、声なき子どもたちのためのものです」。マララさんの言葉を引くまでもなく、いまだ教育の光が届かない子どもが、世界には多い

徳島県内の多くの小中学校で、きょう入学式がある。この機会に、長い歴史の中で、広い世界の中で、当たり前のように学校に通えるありがたさを親子で話し合ってみるのもいい。