けたたましく鳴り響く警報音に、思わず身がすくんだ。量販店へ買い物に行った時のことだ。店に足を踏み入れたところで、防犯装置が誤作動した。店員や他の客の視線が鋭く突き刺さり、いたたまれなくなった

 もちろん疑いはすぐに晴れた。持っていた財布にセンサーが反応したようだ。レジ係の女性が気の毒なほど謝ってくれたが、買い物もそこそこに立ち去った

 万引被害は全国で年間4千億円を超えている。小売店にとっては死活問題だ。大音量の警報が無性に腹立たしく思えたが、被害の大きさを考えればやむを得ないと納得することにした

 万引で摘発される高齢者が増えている。65歳以上の割合は約33%で、20年前の3・7倍にも上る。徳島県内では約39%とさらに深刻だ

 さいたま地検が、万引をした高齢者の再犯を防ぐプログラムを独自に試行している。面談を重ねて「生活保護の申請の仕方が分からない」「孤独とストレス」といった動機の背景を探り、解決へと導く。起訴するだけでは再犯を防げないという発想から昨年始まった

 高齢者の万引が増加している理由の一つに孤立が挙げられる。社会や家族との絆が断たれると、万引を思いとどまる気持ちが弱くなるのだそうだ。高齢者に寄り添うことで万引を防ぐことができるならば、これ以上の「防犯装置」はない。