公園で幼い子どもが「貸して」と別の子のおもちゃに手を伸ばした。「いいよ」。せがまれた子は、すぐに他のおもちゃで遊び始めた。昭和世代ならばけんかになるところだろう。物があふれている平成世代は、執着が弱いのかもしれない
 
 きょうは統一地方選後半戦の投開票日だ。徳島県内でも2町長・5市町村議選が行われるが、このところ投票率の低下が続いているので心配だ
 
 せっかくの休みなのでゆっくりしたい、という気持ちも分かる。また、仕事のある人は、忙しくて暇がないと言うかもしれない
 
 だが、思い出してほしい。帝国議会開設に合わせた選挙では、選挙権は全人口のわずか1%の多額納税者に限られていた。権利拡大を求める中で多くの人が倒れた。女性が選挙に参加できるようになったのは、戦後のことだ。はなから選挙権は与えられていたわけではない
 
 今も選挙のために闘う人たちがいる。香港では、学生らが民主的な選挙の実施を求めてデモを繰り返している。彼らから昨年の衆院選前に、日本の若者へのビデオメッセージがネットに掲載された
 
 「投票する権利を、どうか無駄にしないでください」。物があふれるように自由や権利が保障された日本では、当たり前だと見失いがちだが私たちは気付かなければならない。選挙がいかに尊いものであるのかを。