約半世紀ぶり、ロックの聖地・日本武道館にポール・マッカートニーさんが帰ってきた。72歳の今も第一線。いささかも古びることのない楽曲で会場を沸かせる、その才能とエネルギーにあらためて感服する

 ビートルズで、後に凶弾に倒れるジョン・レノンさんと共にヒット曲を量産したのは、まだ20代のころだ。言うならば「若造」たちが、その後の音楽をすっかり変えた名曲の数々を作り上げたのである

 つらつらと思い浮かべる。パブロ・ピカソの「青の時代」は20歳ごろから。スティーブ・ジョブズのアップル社設立、エルビス・プレスリーの「ラブ・ミー・テンダー」もそのぐらい

 「年齢事典」(アスペクト)を繰った。芥川龍之介の「羅生門」は23歳。ドストエフスキーやゲーテが文壇にデビューしたのは25歳、キング牧師は26歳のときに公民権運動を開始した。釈迦の出家は29歳

 全てが「若さ」に負っているとまでは言わない。けれどもきっと、若者というエンジンを失えば、文化は停滞してしまう。革新とは無縁で、きのうと同じ明日しか来ない社会からは、次代のポールは生まれまい。少子化の怖さはここにもある

 徳島県の発表では、4月1日時点の推計県人口は75万9047人。この1年間に6200人減り、戦後初めて76万人を割った。危機は既に顕在化している