詩の一節が浮かんだ。<明治は明治の風が吹き。/大正は大正の風が吹き。/昭和は昭和の風が吹き。>伊藤信吉「風唄」
田を渡るすがすがしい風を受け、ならば、と少々肩に力を入れてみる。「平成の風は、どこに向かって吹く」。水面が、せいぜい小さく波立って、植わったばかりの苗が、たおやかに、流れるように浅緑の列をなしていた
郊外から、目を徳島市の中心市街地に転じれば、しんまちボードウオークや周辺のステージで大勢の若者が歓声を上げる姿が見えた。アニメの祭典「マチ★アソビ」(5日まで)が始まった
毎回のことだが、その吸引力には驚くばかりだ。コスプレーヤーというのかしら。アニメから飛び出てきたような人たちもあちこちに。天下太平の4文字が降り注ぐ、幸せそうな空間である。門外漢は思う。趣味というもの、いかにも幅が広い
人混みを抜け、そういえば、と思い出した。先の詩はこう続く。<おれにはおれの風が吹き。>。さあ、次はどこへ足を向けようか。黄金週間も残すところ、きょうを含めて、あと3日となった
<子供たちには/ありったけの物語を話してきかせよう/やがてどんな運命でも/ドッジボールのように受けとめられるように>茨木のり子「おんなのことば」。子供といわず大人といわず、心を耕す休日でもあろう。