イギリスに、こんなことわざがあるそうだ。「ほとんどと言ったおかげでうそでなし」。そうそうと、うなずいたのは小欄一人ではあるまいが、それで通らないことが世の中にはある
世界の標準時である「協定世界時」も、大概で、と済ますわけにはいくまい。基となる二つの時間、太陽の南中を基準とする「世界時」と、原子時計が示す「原子時」のずれを0・9秒以内にまで修正するのが「うるう秒」だ。7月1日、午前8時59分59秒と9時00分00秒の間に「59分60秒」が挿入される。1972年に始まり26回目。地球の自転速度は原子が刻む時ほど一定ではないらしい
とはいえ、たかが1秒。おやと言う間もなく過ぎよう。こっそり挟まれても気付く自信はないが、人間ほどは融通の利かないコンピューターの場合、そうもいかない
近年、1秒当たりの処理能力が飛躍的に高まった上、ネットワークの発展で多くの機器が相互に結びついた。例えば、東京証券取引所では千分の1秒単位で注文が飛び交う。たかが1秒でもシステムに影響を及ぼす懸念があり、対策を進めている
1秒が、1秒がと書けば息も詰まりそう。だが、その積み重ねが人生と考えるなら、瞬間瞬間のいとおしさは、この詩が詠まれた唐代と変わるまい。<年年歳歳花相似たり/歳歳年年人同じからず>劉廷芝。