芸術家の岡本太郎さんがかつて記した。<沖縄の本土復帰-ほんとうに喜ぶべきなのかどうか、言いようのない疑念が残る>。経済や開発のみに重きを置く「本土並み」になってはならない。沖縄よ、豊かな文化を守り、独自性を貫け

 本土の側も、だ。沖縄が抱えた種々の問題を<骨身にこたえて感じとる>べきではないか。領土が返ってくる、めでたい、だけでは、長きにわたって異民族支配を受けてきたこの島は浮かばれない。差別などもってのほかである、と(『沖縄文化論』中央公論新社)

 今日で43年になる。米軍普天間飛行場の辺野古移設をめぐる国との対立の中で、沖縄は本土復帰記念日を迎えた。「唯一の解決策」とする政府、「絶対に反対」とする県。知事と首相、官房長官、防衛相の会談は実現したものの、解決の糸口は見えない

 約130万人が住む本島では、広くもない島の18%を依然、在日米軍専用施設が占めている。国内の74%を背負わされた結果だ

 さらに、海を埋め立てて新施設を、と迫られている。沖縄の人たちが「差別だ」と声を荒らげるのも無理はなかろう。疑念の一つが現実になったと、岡本さんも泉下で歯がみしているか

 新たな負担を強権的に押し付けられる沖縄の今日は、私たちの明日を暗示しているのかもしれない。目を閉じてはなるまい。