「すまじきものは宮仕え」といにしえの時代から言う。だが、悲しいかな芸術家にも学者にもなれず、商売人には向かない。ならば、宮仕えのつらさを我慢するしかない
第一生命保険が発表した「第28回サラリーマン川柳コンクール」のベスト100からは勤め人の一生が読み取れた
<「あなた来てー」 唯一の出番 虫退治>。家庭でそんな存在の私は、会社で<『まかせたぞ』 できない上司の 逃げ言葉>にプレッシャーを感じ<丸投げの 上司の肩の 強さ知る>ようなことがたびたびある
<知恵を出せ 出したら 上司の案となり>。そんな目に遭った夕暮れ時、<もう一軒 いいじゃないのと 言う上司>にネオン街を引きずられた後では<もう帰る 電話したのに 用意なし>も当然なのか。既に、<もう10日 妻とのライン 既読なし>の間柄である
ようやく布団に入れば<夢でみた 妻の笑顔に うなされる>のはなぜだろう。<来世でね めぐり逢ったら ほっといて>と思っているせいか…。だが、まだ今生だ。せめて、<小遣いの 異次元緩和 未だなし>の状態だけは改善してほしい
やがて<あゝ定年 これから妻が 我が上司>の身である。<里帰り 孫が来るたび 諭吉去り>という未来も浮かぶ。「それが幸せなのだ」と日記には書いておこう。合掌。