イーハトーブには三百幾つかの火山があって、監視に当たる火山局は噴火を人工的に制御して被害を防いでいる。宮沢賢治の童話「グスコーブドリの伝記」は、そこで働く職員の物語だ
ブドリの両親を含む大勢の人たちの命を奪った、ひどい冷害が再び到来した。火山の一つを爆発させれば、放出される炭酸ガスによる温室効果で気温が上がるのでは。ブドリは地球温暖化のメカニズムを応用し、冷害を切り抜けようとするが…
賢治、1932年の作品である。どのくらいたてば人間は自然の脅威に対抗できるようになると考えていたのだろう。110もの活火山を抱えた火山大国でありながら、予知は発展途上、関わる研究者も50人に満たない。そんな80年後を想像していたろうか
鹿児島県の口永良部島・新岳で爆発的な噴火が起きた。火砕流が斜面を下り、黒煙が見る間に島の上空を覆う様に、列島の地の底に眠るエネルギーの途方もなさを思う
東日本大震災を機に、火山活動の活発化が懸念されてきた。確かに御嶽山(おんたけさん)に箱根、小笠原諸島・西之島、阿蘇、桜島と不気味な動きが続いている
イーハトーブ火山局のような火山制御技術を、いまだに持たないわれわれである。となれば当面は、監視体制の強化や専門家の育成、避難計画づくりに知恵を絞り、生き抜いていくほかはない。
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