鳴門市撫養町斎田の山腹に、約700本の桜が植わる「大池桜公園(仮称)」が完成した。近くの生花販売業別部春美さん(92)が私財を投じ、15年ほどかけて整備した。美しい花が咲くようになり、市民らに開放している。
公園は4ヘクタールで、鳴門高校近くのため池「斎田大池」の西側の斜面に広がる。私費で購入した山林10ヘクタールをショベルカーで切り開き、一人でこつこつと手入れしてきた。
ソメイヨシノを中心に蜂須賀桜やボタンザクラなどを9年前から植え始めた。施肥や草刈りを毎日続け、大きな木は高さ6、7メートルに成長した。公園からは池や中心市街地の眺望を楽しめる。
現在ソメイヨシノは五分咲き。昨夏の猛暑の影響からか、若木の花付きはいまひとつという。シダレザクラは満開で、訪れた人の目を楽しませている。
別部さんは、1949年に撫養町斎田の商店街・大道銀天街で生花店「ナルト園」を創業。鳴門ロータリークラブの会長を94、95年に務めるなど奉仕活動に熱心で、20年ほど前にも市内の島田島の遊休地に桜600本を植えた。
島田島の桜は自宅から離れているため手入れが行き届かず、潮風で枯れた。それを教訓に、こまめに通える自宅近くの山林を開発した。将来は市への寄付を検討している。
別部さんは「あと5年もすれば若木が大きくなり、もっときれいに咲きそろう。市民の憩いの場になればうれしい」と話している。