ドイツで開かれた先進国(G7)首脳会議が宣言で、中国を念頭に、南シナ海の岩礁埋め立てに「強く反対する」と警鐘を鳴らした
<泰山(たいざん)は土壌を譲らず、故に大なり。河海(かかい)は細流を択(えら)ばず、故に深し>。中国の十八史略にある。「高い泰山は、小さな土くれをも手離さないで集めたからあのように大きくなった。黄河や大海も、どんな細流をも選ばず取り込んだから、あのように深くなった。すべて物事は、小さいものをたえず積み重ねることが必要だ」(中国古典名言事典、講談社学術文庫)
中国は、周辺の6カ国・地域が領有権を争う南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島で、滑走路ができる広大な面積を埋め立てている。自然の営為による泰山や黄河の成長にあらず。せっせ、せっせと軍事目的で、美しい岩礁を埋め立てているのだ。大陸の広い国土に飽き足らず、アジア諸国や日米などの強い批判をよそに
<足ることを知れば辱しめられず>老子。「満足ということを知れば、決して過ちを犯すことなく、自然、世間から恥辱を受けることもなくなってくる」(同)
大国意識を漂わせる中国指導部が、G7の宣言を恥辱と受け止めるかどうかは分からない。それにしても、中国古典から学ぶことは多い。領土拡大を図る野心家にちなんだ故事の結末は、時に哀れを極める。
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