「なりふり構わず」である。中国の公安当局が、人権派の弁護士や活動家ら100人以上を連行した。反体制運動を力ずくで抑え込む構えだ

 中国では、格差拡大など社会矛盾への不満がたまって、抗議活動が各地で相次ぐ。2011年は年間約18万件だったが、ここ数年でさらに増加したといわれている。貧困層が官僚腐敗や不当な農地収用などを裁判所に訴えても、ほぼ全てが門前払いという。正当な手段での解決に絶望して、抗議や、より過激な行動に出るケースは少なくない。今回の一斉連行は、抗議活動を支援するネットワークの壊滅が目的だ

 人権弾圧は今に始まったことではない。独裁廃止を訴えた「〇八憲章」を起草、ノーベル平和賞を受賞した劉暁波(りゅうぎょうは)氏が投獄されたのは記憶に新しい

 中国は今や経済規模では世界第2位、自他ともに認める「大国」である。「なり」や「ふり」を気に掛け、ふさわしい振る舞いについて考えるべき時だろう

 中国古典名言事典(講談社学術文庫)に「衆を失えば則ち国を失う」(大学)とある。民心を失えば一国を失うことになるという、政治で最も大切な点を説いた

 弾圧をどれだけ強めても、自由を求める民衆は決してくじけはしない。日本に「歴史を直視せよ」と主張する中国の指導者なら、民主化運動の歴史も知っているはずである。