横暴が過ぎるのではないか。議論すればするほど、理解が深まるどころか、疑問がわくばかりの安全保障関連法案を、与党が衆院特別委員会で強行可決した。国民の理解が十分に得られないまま、国の行く末を大きく変える法案が押し通されようとしている
 
 安倍晋三首相には、国民の不安を取り除くために丁寧に説明しようという気はないようだ。それよりも、「夏までに成立させる」とした米国との約束の方が大切らしい。与党はきょう衆院を通過させ、参院審議を経て、9月下旬までの法案成立を目指す
 
 安保法案のポイントは、戦争放棄をうたった憲法9条に基づき、歴代政権が認められないとしてきた集団的自衛権の行使を解禁することだ。
 
 「同盟国が攻撃されたら共同して防衛にあたる」のが集団的自衛権である。武力攻撃を受けたときに防衛力を行使する個別的自衛権と比べて、「自衛」の範囲はずいぶん広がる
 
 「戦争へ道を開く」懸念が、政府の説明では拭い去れないとして、市民らが国会周辺などで大規模な抗議行動を続けている。梅雨の晴れ間、厳しい暑さと戦いながら
 
 夏は原爆忌や終戦記念日など、戦争を二度と起こしてはならないとの決意を新たにする節目が数多くある。戦後の日本は「平和国家」の道を歩んできた。この夏を、道をたがえる節目としてはならない。