「地球は青かった」。1961年に、人類初の宇宙飛行に成功した旧ソ連の宇宙飛行士、ガガーリン少佐の言葉は、今も新鮮な感動と驚きに満ちている。暗い宇宙空間に、青い輝きを放つ未知の生物を見つけたかのような
 
 青い海、白い雲、赤茶けた大陸・・・。地球儀でなじみの国境線はどこにも見当たらない。もともと人が地球を線で区切る必要などないのだと、青い地球の画像は教えてくれる
 
 きょう、地球上の軌道を回る国際宇宙ステーションへ、日本人宇宙飛行士の油井亀美也さんが旅立つ。5カ月間滞在し、後から到着する日本の無人補給機「こうのとり」をドッキングさせる役目を担う
 
 油井さんは航空自衛隊でF15戦闘機などを操ったテストパイロット出身。地上では自衛隊の海外派遣を拡大する安全保障関連法案をめぐり「違憲」「合憲」の論争が続く。だが、自衛隊育ちの飛行士を宇宙に派遣するのは、何と友好的で、平和的な国際貢献のミッションだろう。米国とロシアの飛行士が仲間だ
 
 油井さんらを乗せるソユーズ宇宙船は、カザフスタンの宇宙基地から打ち上げられる。ガガーリン少佐の宇宙船もこの発射台から旅立った。それから半世紀余り。油井さんが宇宙から発するメッセージに期待しながら、いつか、「地球は青く、平和な星だ」と飛行士が語れる日を夢見る。