うかつにも知らなかった。山の田畑で見かける動物よけの電気柵に、これほどの事故を引き起こす危険があったとは
静岡県西伊豆町で死傷した7人も、たぶん同じだったのではないか。目にしたことぐらいはあったろうが、そこに潜む危険までは知り得なかったに違いない
ホームセンターでは、3万円程度でセットが購入できるそうだ。市販品での事故は「考えにくい」と専門家は言う。今回の電気柵も、いろんな部品を組み合わせた手作りの設備だった。危険なのはこちらだとしても、市販品と見分けがつくだろうか。そもそも茂みの中にでもあれば、お手上げだ
使用禁止で済むなら簡単だが、鳥獣による農業被害が拡大する一方の昨今、そうもいかない。徳島県によると、県内の総延長は昨年度末現在、国や県の補助で設置された柵だけで627キロもある。電気柵のある風景は過疎高齢化の風景とも重なる
2009年には兵庫県南あわじ市で、農業の男性が感電死している。このため30ボルト以上の電源を使う電気柵には漏電遮断器などの安全対策が求められていた。それなのに問題の柵には施されていなかった
日常の用具が突然、凶器に変わることがある。少なくとも電気柵設置者の場合、死傷事故の再発で、「知らなかった」の言い訳はもう通らなくなった。いま一度の安全点検を。
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