「よーく聞いてみな。ジャズっていうのはさー、黒人のしゃべり方、そのものじゃねえか」。仲間のミュージシャンが分かったふうな顔で言った。知り合いのギター弾きが、ニューヨークのクラブを回っていたころの話だ
言われてみて、あらためて耳を澄ませた。なるほど、黒人の、それも下町の人たちの会話は、まるでジャズのリズムと旋律の応酬のよう
サックスのチャーリー・パーカーら、モダン・ジャズの創始者といわれる人たちがなぜ、いずれも「吹く」楽器の奏者だったか納得できた。「つまり彼らは、体の内から湧き出る情念を、楽器を通して歌っていたというわけです」
人の集団があれば、そこに固有のリズムと旋律が生まれる。それが1940~50年代のアメリカでは、モダン・ジャズといった形で花開いた。パーカーはこんな言葉を残している。「ジャズは、人間の生き方そのものだ」
二拍子のリズムに身を任せる徳島の夏が、再び巡りきた。踊り子の一挙手一投足に、鳴り物の一音一音に、あの戦争をも乗り越えて営々と続いてきた、長い長い暮らしの物語が詰まっているのだろう
他のどこでもない、この土地で生まれた阿波踊りである。日頃は静かな街が、その表情を一変させる、こよいからの熱狂は「阿波人の生き方そのもの」を伝える4日間といえようか。
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