担ごうとする荷が一つなら、おのずと息も合う。別々ならば、はなから協力することもないだろう。維新の党の内紛は、創業者2人の離党で一応の決着をみたものの、分裂含みの混乱は収まりそうにない

 与党協調路線の「大阪系」議員と、野党再編を模索する非大阪系。当初から向いている方向は別だった。二つの荷を一つにまとめて何とかやりくりしてきたが、山形市長選への対応をめぐる対立で、縛っていた綱が緩んでしまった

 創業は易く守成は難しという。事業を興すのはたやすい。だが維持していくのは難しい。とはいうものの、どうにも分かりにくい騒動である

 最高顧問だった橋下徹大阪市長は「大阪の地方政治に軸足を移す」と離党の理由を説明した。11月の大阪府知事、大阪市長のダブル選を控えて「原点回帰」を狙ったとの見方も広がるが、唐突な印象は否めない。そもそも橋下市長と松井一郎大阪府知事のいない維新を、維新と呼んでいいものだろうか

 内紛、対立、四分五裂の野党陣営。比べて自民党は個々の議員の考え方は違っても、大きくはまとまりを失わない。来月の総裁選も、全派閥の支持を得た安倍晋三首相が無投票再選する見通しだ

 こちらも、長い物には巻かれろ、とはいくまい。巨大与党の向こうを張って、決戦の秋、維新を含む野党はどう戦うか。