鹿児島県のトップとしては幼稚な発言である。伊藤祐一郎知事が、県の教育に関する会議で「高校教育で女子に(三角関数の)サイン、コサイン、タンジェントを教えて何になるのか」と述べた
 
 女性に対して日頃から持っていた「上から目線」と「固定観念」が、思わず口をついて出てしまったか。女性から「男性であれば教える意味があるのか」とか「その根拠を示して」と反論されれば、ぐうの音も出ないだろう
 
 知事は翌日、「自分自身も使ったことがないよねという意味」と訂正した。苦し紛れの弁明だろうが、三角関数を使ったことがないのは当たり前である。仕事や趣味で関わらない限り、普通の社会人が三角関数を使うことはほぼなかろう
 
 社会に出れば、ある種の知識が直接何かの役に立つことはそう多くない。授業で習ったはずの微分積分や化学式、漢文…使ったことがないどころか、今や学んだ記憶すら曖昧になっている
 
 だが、学びは、知識だけではなく、多くの力を与えてくれる。忍耐力や理解力が育まれ、人生の支えになる
 
 多くの学校は夏休みも残りわずか。宿題に追われている子どもは少なくないはず。はかどらなくて「勉強って意味があるの」と、子どもがかんしゃくを起こしたらこう伝えてほしい。学ぶことは苦しくても、いつか自分を助けてくれる、と。