「男は一度勝負する。勝負の時は近づいている」「男は勝つまで何度でも勝負する」。そんな名言で知られる本県選出の三木武夫元首相は、自民党総裁選で3回敗れた。だが、田中角栄元首相の退陣に伴う椎名悦三郎元副総裁の裁定で、幸運にも総理・総裁の座を射止めた

 総裁選は政治生命を懸けた過酷な戦いだが、出馬のメリットは大きい。小泉純一郎元首相は2回、麻生太郎元首相は3回敗れたが、国民の間で知名度を高め、総裁候補として生き残った

 8日告示の総裁選は7派閥の支持を受けた安倍晋三首相の無投票再選が濃厚となった。野田聖子前総務会長は「今の私の心は『義を見てせざるは勇無きなり』」と出馬に意欲を示すが、推薦人集めは難しそうだ。「野田氏を推すと人事で冷遇される」「首相肝いりの安全保障関連法案の審議に影響しないよう、無投票がいい」。そんな議員心理も透けて見えるが、本末転倒だ

 活発な政策論争こそが、国民の声に応える道ではないか。「私は行く。私は何ものも恐れない。ただ大衆のみを恐れる」とは、佐藤栄作元首相の4選阻止に挑んだ三木氏の出馬表明の言葉だ

 折から、職場で女性の登用を促す女性の活躍推進法も成立した。今の時代、総裁選では「男も女も負けを覚悟で勝負する」と、党内の閉塞感を打ち破るせりふを聞きたい。