「ハラル」という言葉を聞くようになって久しい。アラビア語で、直訳すれば「許されたもの」といった意味だそうだ。一般には、イスラム教の戒律に沿った商品や活動を指す
豚肉や酒が禁じられていることは、よく知られているが、それらを避ければいい、というだけの話ではないらしい。牛や羊、鶏の肉も作法に従って祈りをささげたり、血抜きをしたりする手間を掛けなければ、ハラルとはならない
ここで問題。最大のイスラム教国はどこか。中東? いいえ、答えはもっと身近な国、東南アジアのインドネシアだ。イスラム教徒(ムスリム)は人口の88%、2億2千万人に上る
当然ながら過激派組織「イスラム国」ばかりがムスリムではない。彼らはむしろ例外的な存在なのである。米調査会社によると、ムスリムは現在、世界におよそ16億人。2030年には4人に1人、22億人に増える。イスラム教は分からない、などと言っていられない巨大市場だ
県内でも「ハラル」商戦に参入する事業所が現れ始めた。インドネシアへの和牛輸出を狙い、県西の会社が中四国で初めてとなるハラル対応の食肉処理施設を建設する
まずはイスラムを知ること。顧客第一の誠実さ。こんなところが成功の鍵となるか。「もてなし」の遍路文化に親しんできた徳島人の得意領域といえまいか。