「派閥解消は天の声」。安倍晋三首相の祖父岸信介氏は、首相時代の1957年にそう述べた。当時の自民党には「8個師団、3連隊」といわれる大小の派閥があり、権力闘争に明け暮れていた

 結局、天の声を押しのけて派閥は存続。58年末には、本県選出で党内反主流派の三木武夫、池田勇人両氏ら3閣僚が辞任し、岸内閣を揺さぶった

 何度、派閥解消が叫ばれても、なくならない。派閥領袖は、金とポストを子分に配分しながら勢力を拡大し、総理総裁の座を狙う。子分は忠誠を誓い、親分が「右向け右」と言えば、右を向く。総裁選では金とポストの空手形が乱れ飛んだ。そんな派閥の弊害を訴え続けた三木氏が三木派を維持したのは言行不一致だった。派閥は「必要悪」なのだろうか?

 同様に派閥を否定してきた石破茂地方創生担当相が今日、石破派を旗揚げし、本県関係の衆院議員2人が参加する。これで、徳島の国会議員は5人とも派閥入り

 再び主要8派閥が林立する中、党を牛耳るのは最大派閥の細田派で、岸派から代替わりを続けて60年になる。この親分子分の浪花節集団をバックにする安倍首相が「国際情勢が変化した」と言って、憲法解釈まで変更したのには驚いた。だが、国民は政治家の子分ではない。「右向け右」と言われても、先が怖くて「ハイ」とは言えぬ。