生涯にそうある買い物ではない。大きなローンも抱える。だから慎重にもなる。それでも、基礎のくい打ちまで確認した人が、どれほどいたか
 
 横浜市の大型マンションが施工不良で傾いた。くいを打ち込む際、地盤の強固な部分まで届いていなかったり、打つ深さが足りなかったりしたという。虚偽の工事データも使われていた
 
 マンションを販売したのは三井不動産グループ、くいを打ったのは旭化成子会社の旭化成建材と、名のある会社の失態である。影響は広範囲に及び、全国のマンションなど最大3千棟の調査が必要になっている
 
 専門家でもなければ、地中の不正までは見抜けない。頼りになるのが「信用」だ。家を買うとは、ある面で信用を買うということでもある。ブランドを信じて購入したのに、と住民ははらわたが煮えくり返る思いだろう
 
 世界の工場の住人が大挙して「爆買い」に来るほど、これまで「日本製」には厚い信用があった。それを揺るがす事態が立て続けに起きている。東洋ゴム工業では断熱パネルや免震ゴムに続き、防振ゴムでも不正が発覚した
 
 築くには時間がかかる。しかし失うのは一瞬。信用とはそういうものである。最も大切にしなければならないはずの政界でも、維新の党の内紛が、政党交付金の分配も絡んで泥沼化している。大丈夫か、日本。