便利さには、それなりの費用が発生するものと半ば諦めてはいるものの、月々の、その請求額の大きさに「どうにかならないか」と、じっと明細を見る。便利さに慣れっこになって、手放せなくなった携帯電話である
 
 携帯料金の引き下げ策を検討する総務省の有識者会議が、議論をスタートさせた。値下げが実現するのなら、これはありがたい。でも、何か変だ
 
 この感覚は春にもあった。労働者に成り代わって、政府が経営者に賃上げを要請する。組合が弱体化した今、過程はどうあれ、大手を中心に前年を上回る回答を引き出せたのだから、「官製春闘」もそれはそれでいいのかね。いや、やはりどこか変だ
 
 有識者会議では、通話やデータ通信をあまり利用しない人向けに低額プランを設けるといった料金体系の多様化や、格安スマートフォン会社の育成を通じた競争促進策を話し合うという
 
 菅義偉官房長官も記者会見で「大手3社が似たような料金設定をしているのは、国民から見ても問題だ」と述べた。発言内容に異存はないが、はて、お上が口を挟むことか。過ぎたるは-のことわざもある
 
 料金は安い方がいい。賃金は高いに越したことはない。当座は、そうに決まっている。ただし、もう少し長い目で見れば、企業の健全な競争を阻害することになりはしないか、疑問は残る。